#03 農薬の1日摂取許容量
■安全な範囲での残留農薬

農薬は、目的とした作用を発揮した後、ただちに消失するわけではありません。

なので、作物に付着した農薬が農作物に残り、
これが人の口に入ったり、
農薬が残っている農作物が家畜の飼料として利用され、
ミルクや食肉を通して人の口に入ることも考えられます。


この残留農薬が人の健康に害を及ぼすことがないように、
農薬の登録に際して、安全性に関する厳重な審査が実施されています。


まず、農薬の登録申請時に提出される毒性試験の結果から、
「その農薬を一生涯に渡って仮に毎日摂取し続けたとしても、危害を及ぼさない」
と見なせる体重1kg当たりの許容1日摂取量ADI:acceptable daily intake)を求めます。


一方、作物に散布された農薬は、
作物に付着するもの
付着しきれずそのまま土壌、大気中にいくもの
水田水から河川に入るもの
分解してしまうもの

があり、農作物や水などを通じて人間が農薬を摂取することになります。


したがって、各経路から摂取される農薬が
ADIを超えないように管理、使用する必要があります。

環境大臣が定める登録保留基準は、この点を考慮して設定されています。


こののち、農薬の有効成分ごとに食用作物に残留が許される量を決めたのが、
農薬の残留基準です。

大気や水からの農薬の摂取を考慮して、
各作物の農薬の残留基準の総計が、この農薬のADIの8割以内となるように決められています。


現在登録されている農薬については、
使用方法を守って使用すれば、
農薬が基準を超えて残留し国民の健康が脅かされるという恐れはない
とされています。



■体重1kg当たりの1日摂取許容量(ADI)の決め方

体重1kg当たりの許容1日摂取量(ADI)とは、
その農薬を人が一生涯に渡って、仮に毎日摂取し続けたとしても
危害を及ぼさないと見なせる量
のことです。


まず、ラットやマウスの動物を用いた長期毒性試験の結果の中から
最も低濃度でも影響の見られる試験を選び、
その試験で影響のみられなかった投与量を求めます。


この値は動物試験の結果であること、
そして人においては個人差があることを考慮して、

不確実係数(通常 1/100[1/(10[種間差]×10[個人差])])をかけて
人に影響のない量を求めます。


1/100とは非常に厳しい数値だといえるそうです。


この結果がADIとなります。



このADIは、体重1kg当たりの許容1日摂取量です。

これに日本人の平均体重(53.3kg)をかけることにより、
日本人1人当たりの摂取が許容される量となります。

この値が農薬の残留基準を設定する際の基となります。


(2008.6.17)
参考文献/サイト
農水省HP