住まいの情報・特集

食と農を考える

コメ再考④ 依存か、自給か
■専門家の意見

グローバル化の中で、日本が生んだコシヒカリが世界の貿易商品として動き始めています。

自由化が進んで、安いコメが流入すれば、食料自給率はさらに下がっていくことになります。

私たちの主食は、誰が作るべきなのか。
3人の専門家の意見をご紹介します。

【自給派】どんな事態が起きても国民を守るために食糧を自給する体制を整えるべき。

大きな流れで言えば、コメの自由化は、安いコメが入るというメリットがあります。
さらに貿易自由化の点で、輸出産業が伸びるでしょう。

だけど、何が失われるでしょう。

国民の生産が行われない、ということで、
ナショナルセキュリティ(=国家安全保障)の意味で問題があります。

主食を国内で生産できないことを許す国は世界に絶対にありません。
どの国も、至れり尽くせりの体制で、主食に対する自給率を守っているのです。

もし、乳製品の自給率が欧米で70%を切れば、パニックが起こるでしょう。
間違いなく、それが世界の常識です。


だから、日本の食糧自給率が39%になったその意味を考えなくてはいけません。


先進国では、どんな事態が起きても国民を守るために食糧を自給する体制を整えています。


食糧は戦略物資です。
国家の存立の問題として、考えないといけないのです。

(東京大学 鈴木宣弘教授)


【依存派】世界中から輸入できなくなることはない。友達国を作ることが究極の安全保障。

食のグローバル化が進んでいます。
WTO、FTA(=自由貿易協定)を通じて、日本の自給率は確実に下がっていくでしょう。


農業が弱体化した台湾が、必ずしも日本の未来の姿だとはいえませんが、
自由化が今後進み、日本は限りなく台湾化していくでしょう。


食糧自給率にこだわることはありません、
日本は貿易の自由化を進め、工業製品の輸出を促進したほうがいいのです。
そのほうが、 国民は豊かになります。


流通が発達した今、コメの輸入が途絶えることはないでしょう。
世界中から入ってこなくなるということは、想像しがたいことです。


日本がそういう食糧危機を意識して自給率100%を維持するほうが、
はるかにコストがかかるのです。


要は、世界にお友達をたくさん作っておくこと。
こちらのお友達と喧嘩しても、別のお友達が助けてくれるような関係。

友達国をたくさん作ることが究極の安全保障です。

(東京大学 本間正義教授)


【自給派】主食を輸入に頼ることは、きわめて危険。外貨でコメを買えばいいというのは問題。

日本人の主食を輸入に頼ることは、極めて危険です。

海外から食糧を輸入するための外貨を、
日本企業がいつまで稼ぎ出せるのか、何の保証もないからです。

外貨を、
たとえば、日本の第二次産業が、自動車やITのわずか10~30社が、稼いでいます。
その現実を、農業の輸入自由化を考えている人は考えてもらいたいですね。


いつまでも外貨と貿易黒字を増やし続けるわけにはいけないのです。

海外から食糧を買い求めるための外貨が不足してくる時代も来るかもしれないでしょう。
外貨でコメを安く買えばいいというのは大きな問題です。

(評論家 内橋克人氏)


私は上記では【自給派】で、コメの輸入自由化には断固反対です。
賛成の方の中には、日本のおいしいお米は輸入米に対抗できると言っている人もいます。

日本の水田による稲作が、たかだか数年で、何倍もの生産性を持つような方法に変わるとは思えませんし、
輸入の安いコメに押されてしまうのではないでしょうか。

農村の荒廃もますますひどいものになっていくと予想されます。


カリフォルニア米は市場価格で日本の約1/4です。
(当然アメリカは自国の農業に対し膨大な補助金を支給して保護しています。
圧力団体にかけてはアメリカの方が日本よりよほど強力です。)

タイ米は更に安いですが、日本のコメと味が違いすぎるので競合しないかもしれません。
ただ、加工品やお弁当には間違いなく浸透するでしょう。

関税率を一時的に高率にしたとしても、アメリカが「高すぎる!下げろ!」と要求してくるのは目に見えています。


世界全体では、食料輸出余力を持つ国が減少してきており、
水不足が懸念されています。
また、発展途上国での人口増増加・農地の細分化等が進んできています。

世界的な規模で食料、資源の分配問題が起こってくることが考えられています。


そうなった時に、「アメリカが救ってくれる」とか「輸入すれはいいじゃないか」という意見は
意味があるでしょうか。


アメリカは食糧問題を外交・政治用具として使おうとしています。
約70年前も、石油を外交用具で使い、日本に大東亜戦争を引き起こさせました。

自国内では日本の倍近い補償を農業にしつつ、EUや日本に自由化を迫ってきているのです。
(狡猾ですが、現実感覚が鋭い)


各国の穀物自給率は、
カナダ、アメリカは150%を超え、
EUも100%を上回っています。
アフリカの平均が約80%で、
アジアの平均は100%近く。
ラテンアメリカも90%以上、
中東諸国も80%です。

日本の28%という低さは異常です。


このような国際的視野を欠いて、
規制緩和の風潮に乗った安易な自由化はかなり危険なものであると感じます。

(2007.11.10)
参考/引用
NHK「ライスショック」  / しんちゃんホームページ「コメ・環境・日本の針路」