#10  マクドとモスの比較はかなり大きい
■栄養面での違い

マクドで、ハンバーガー2個とフライドポテト(s)とコーヒーの昼食をとると
カロリーは878kcl。
20歳の男性の1日所要量の33.1%を満たせます。

しかし、ビタミンやミネラルは数%にしかなりません。


モスは、マクドと対照的な戦略を展開してきました。
メニューには、野菜をたっぷり使ったハンバーガーが多く、
サイドメニューも根菜類のスープなど、
ビタミン・ミネラル類の摂取を意識した材料を使っています。

マクドとは、パン、たまねぎ、パティなど構成はほぼ同じ。
しかし、栄養素を比較すると、少し差がありました。

これは、素材の差でしょうか。

栄養要素 モスバーガー マクド
ハンバーガー
1日の
栄養所要量(男性)
重量(g)
エネルギー(kcal)
たんぱく質(g)
脂質(g)
炭水化物(g)
カルシウム(mg)
鉄(mg)
ビタミンA効力(IU)
ビタミンB1(mg)
ビタミンB2(mg)
ビタミンC(mg)
207.5
400
14.7
21.7
36.6
39
1.3
58
0.55
0.14
8
109
251
12.7
8.5
30.9
18
1.4
1
0.09
0.11
2
 
2650
70
40〜56
356
700
10
2000
1.1
1.2
50
▲モスバーガー・マクドナルドHPおよび「第六次改定日本人の栄養所要量」(厚生労働省)より作成(2008.3)

上の表はハンバーガー一個を比較した数値です。
しかし、重量が違いすぎるので、100gあたりの数値を出してみました↓

栄養要素 モスバーガー
(100gあたり)
マクド
ハンバーガー
(100gあたり)
1日の
栄養所要量(男性)
エネルギー(kcal)
たんぱく質(g)
脂質(g)
炭水化物(g)
カルシウム(mg)
鉄(mg)
ビタミンA効力(IU)
ビタミンB1(mg)
ビタミンB2(mg)
ビタミンC(mg)
192.8
7.08
10.5
17.6
18.8
0.63
28.0
0.27
0.07
3.9
230.3
11.7
7.8
28.3
16.5
1.3
0.9
0.08
0.1
1.8
2650
70
40〜56
356
700
10
2000
1.1
1.2
50

ざっと見たところ、マクドのほうは、カロリーやたんぱく質はモスより高いものの
ビタミンAやビタミンCにおいては劣っていることが分かりました。

しかし、ハンバーガーをきっちり100g食べる人なんていません。
男性なら、マクドのハンバーガーの小ささなら2個はいると思いますし
女性なら、ハンバーガーはひとつでも、サラダをつけることも多いかと思います。

なので、一概にハンバーガーの栄養素だけを比較してあーだこーだ言うのは少し危険です。
ケースバイケースのトータルの栄養素を意識して、セレクトしたいものですね。



モスは、注文を聞いてからパティを焼いてハンバーガーを作り始めるようです。
片面ずつ人間が焼くのでかなり待たされることも多いのだとか。
(マクドも、焼きます。11秒焼くそうです。待たせません)

牛肉は、ホルモン剤も抗生物質も投与されていないナチュラルミート
野菜は国内のグループとの契約取引で、減農薬減化学肥料の特別栽培野菜
店内の黒板に、野菜ごとの生産農家さんの名前を毎日手書きします。

店で使う食材の背後にいる農家さんの顔が浮かぶ工夫がされています。



■農家とモスの相互理解

モスの契約農家さんと、モス社員の間では、
様々な形で相互理解のための交流が行われています。

本部社員は、研修で産地を訪れて農業を体験するそうです。
農家さんも、店舗を訪れて反省会や打ち合わせを行い、
厨房に入って自分たちの野菜がどのように使われたのか確認するそうです。


畑で育った野菜が、ハンバーガーにはさまれるまでを、
作り手も売り手もお互いに確認できるという、
ファーストフードチェーンでは珍しい「顔の見える関係」を構築しています。

こういったことは、きっとマクドにとっては
「社員と産地農家が交流するために使う費用はムダ」
と思われているかもしれませんね。


1995年、マクドが安売り路線に転換した年に、
モスは契約農家の減農薬野菜の使用実験を開始しました。

1997年には「モス 新価値宣言」を出し、
ナチュラルビーフとミネラル野菜の使用を全店舗に展開しました。

「早さと安さ」のマクドに対し、
モスは「おいしさや健康や安心、安全をベースにおいた価値」
を重視しました。


■食のボーダレス化

「農民も海外に出て行けばいいのだ」
日本マクドナルドの藤田社長は自身の著書でこう言い放ちました。

たとえば、コメ。
生産コストが安いベトナムやタイでコシヒカリやササニシキを作り、日本に輸入する。
そうすれば価格は格段に安くなるので、日本の消費者も喜ぶ。

「だから農民もコメを作りに諸外国に出て行けばよいのだ。
そうしたら後継者年間1800人の農民の未来はハッピーではないか」

(『勝てば官軍』より)

食と風土を切り離し、本当にそれでいいのでしょうか。
周辺地域の農蓄産物を消費することが、
農地・草地、生活環境の保全につながるのでないのでしょうか。



私が前に就業していた会社では、
多くの人がマクドのハンバーガーを昼食にしていました。

(私の就職した1社目、2社目は男性人はランチはいつも外に食べに行っていました。
私は紅一点。3社目はホテルだったので、社内食堂へほとんどの人が行っていました。)

ランチは女性陣がミーティングルームに集まって食べていたのですが、
私(弁当)以外が全員マクドでテイクアウトしてきたものを食べていたときもありました。


次に使うクーポンを楽しみにしていたり、メガマックについて語ったり…
「なんだかんだ言ってマクドっておいしいもん」

驚きましたが、きっとこれが一般の会社の世論なんだろう、
と貴重なマーケティング材料でした。
就職してから自分の弁当しか食べてこなかった私のほうが、
世間知らずだったのです。


マクドが好きなことについて、決して非難しているわけではありません。
ただ、やはりマクドが浸透している影響というものがいかに大きいかを実感しました。

そのマクドで買ったハンバーガー分を家で炊いたご飯にしたら、
日本の農家さんも喜ぶのにな。自給率、上がるのにな。
と考えてしまいますが、
楽しいランチの時間にそういうお堅いことを言うべきじゃないと思うので、口にしません。。

しかし実際ホンネのところはそういうことです。


日本の農業問題は、農家の生活保障だけではないようです。
生活者の食べ方とも、密接に関わっているのです。

(2008.3.20)


参考/引用
「安ければ、それでいいのか!?」山下惣一 編著(コモンズ)/「勝てば官軍」藤田田(KKベストセラーズ)/モスバーガー