#24 EPA・FTAへの考え方
■大切、、だが注意も必要日本はシンガポールとの間で初めてFTAを含むEPAを結びました。
しかし、シンガポールは農業国ではないため、現状を追認する内容でした。
農業分野を含めた本格的なEPAはメキシコが初めてでした。
メキシコとのEPA交渉においても、
工業製品の関税撤廃の見返りに、
豚肉など農産物のメキシコからの輸入拡大が迫られました。
結局、メキシコとのEPAは、約1100の農林水産品目について
メキシコの関税撤廃の要望に応えました。
牛肉やオレンジ果汁については輸入枠を拡大しましたが
最も重要な豚肉については、
関税制度の範囲内でのぎりぎりの関税引き下げで合意しました。
このように、工業製品の一層の輸出拡大の見返りに、
相手国から農産物の輸入拡大をさらに迫られるという構図は、
タイをはじめとする東南アジア諸国連合(ASEAN)の国々とのあいだでも同様です。
東南アジアとのEPAは、すすむべき方向です。
しかし、気をつけないことがあるんですね。
| 1.自国と相手国の相互発展を本来の目的とし、経済的、社会的、文化的発展を目指し、 様々な分野で総合的にすすめること 2.工業製品の輸出拡大の見返りに、農業に一方的なしわ寄せがあってはいけない 3.多様な農業の共存と農業の多面的機能の発揮を実現できるEPAにすべき 4.各国の地域特性の下で生産されている個別農産物のセンシティビティが尊重されるべきで、品目によっては例外措置が講じられること 5.相手国の要請で関税の引き下げが進んだ際は、国内農業には絶対に影響を生じさせないこと 6.アジアの国とのEPA締結において、地域開発や産業基盤の整備など、 政府間、農協間などの協力を基本にバランスのとれたものにしていくこと 7.食品の安全性確保のため、両国において加工農産物等の原産地表示の整備を徹底すること |
■アジア全体の共存
アジアの国々とのEPA。
同じアジアモンスーン地域の国として、
WTO交渉においてもより一層の連携の強化をはかることを念頭に
EPAの締結交渉を進めることが大事です。
これまでのWTO交渉では、アメリカ、オーストラリアなどの輸出国が最も利益を得て、
アジアの多くの国の貿易収支は悪化してきたのです。
今後、輸出国に席巻されないために、アジアの国々が共通の対応を展開する必要があります。
日本としても、圧倒的に輸入シェアの大きいアメリカからではなくて
貧困に苦しむアジアの国々からの輸入に切り替えることもできないか、という意見があります。
日本の食料輸入額のうち、アメリカ、オーストラリア、カナダの3カ国が占めるシェアは38%。
食料安全保障の強化の観点からも、輸入の多元化は選択の一つとしてみられています。
今、日本には、
中国にアジアのリーダーとしての地位を奪われかねない
との危機感があります。
しかし経済力を背景に、アジアの諸国に対し、
工業製品の輸出拡大を狙いとしたEPAを押し付け締結するのは問題です。
アジア諸国とのEPAは、経済交流のみではなく、
人の交流、教育・文化などの広い連携を目指し
アジア全体の共存・発展に貢献する理念に基づいたものであるべきでしょう。
(2008.3.19)
引用
「農と日本の再生計画」山田としお
「農と日本の再生計画」山田としお

