#21  農地価格が上がったのは
■工業国へ転換した日本

日本が農業国から工業先進国へと転換していく過程では、
農地からの地租財源や、養蚕にとる繭や絹織物がその発射台になりました。

戦後の高度経済成長期には、
農村からの若年低賃金労働力や、農地の工場転用、兼業労働力が
その発射台になりました。

Made in JAPANやPanasonicが世界ブランドとなっている日本は、
農業の実態を踏み台にして、いま存在しています。


日本の農地は、班田収受(土地本位制)にみられるように
食糧生産の手段というより、大事な資産でした。

戦後のGHQによる農地改革は、
「所有が砂を黄金に変える」ことで一挙に生産力を拡大し、飢餓を克服しました。

しかしその反面、本来土地を持たなかった出稼ぎ農民も土地を持つようになったため
「小規模零細農家」が常態化したのです。


高度成長期のきっかけとなった工業の地方分散は、
無秩序な「農地→工場地転用」を生みました。

そして金融バブルによる土地神話は農村部にまで及び、
農業での収益を圧倒的に上回るほど、農地価格が高騰しました。


高度成長期の進展の中、日本はアメリカへの工業製品輸出の見返りもあり、
アメリカから飼料穀物を中心に大量の穀物を関税ゼロで輸入するべく
自由化をはじめました

見返り、以上にアメリカからの強い要求があったものと考えられます。


結果、300万トンに近い大豆や小麦、とうもろこしが低価格で入ってきました。
そして、日本の農地からは大豆や麦が消えていったのです。


今日、農地の零細規模を解消できずにいるのは、
農家が土地を資産として手放さなかったという批判の前に、
農地価格をいたずらに高騰させた政府に問題があったと言わざるをえません。



アメリカでは、
農業法による緊急支払い、目標価格に満たない場合の不足支払い
といった仕組みがあります。
これらは日本以上に過保護です。

EUの共通農業支援も、仕組みそのものが日本以上に過保護です。

農地の所有をめぐって、
「株式会社の農地所有」という形でのバブルが
もしかしたら始まるのかもしれません。


(2008.3.19)


引用
「農と日本の再生計画」山田としお