#17 コメ再考G 大規模化モデル農村の実態
■採算割れ

秋田県大潟村
周囲52キロ。広大な水田が広がります。

自給率を上げるという国の方針の下、
湖を干拓して作られたコメの、一大生産基地です。

ここでは、国が今取り組んでいる大規模化が
40年以上も前から国策として進められてきました。

一人当たりの平均耕作面積は、15haと、日本の平均のおよそ15倍
スケールメリットを活かした合理的な経営をいち早く実現し、
大規模化のモデル農村と言われてきました。

しかし、この大潟村でさえ、かつてない厳しい現実に直面しています。



坂本さん66歳。
15hであきたこまちを作る、専業農家です。

広い面積を活かして、大型機械による効率的な農業を進め、
平成5年には1200万円の収入がありました。

当時、コメは国が保護し、安定した価格で買い取られていました。


しかし、国はその方針を一転させます。
平成7年、外国米の輸入を始めたのに続き、
それまで管理してきたコメの販売の自由化にも踏み切りました。

その後、コメの価格は下落の一途をたどります。


坂本さんは、コメ1俵60キロを作るのに、16000円かかります。
価格が、採算割れに近づいてきたのです。

収入は大幅に減りましたが、
大型機械の買い替えや、精米にかかる費用は変わりません。

坂本さんは、借金を重ねざるを得ませんでした。

何とか収入を確保しようと、
農薬を減らしたコメを消費者へ直接販売することも始めました。

そのため、コメの乾燥機を購入するなど、
1600万円の設備投資に踏み切りました。

しかし、コメ離れが進む中、
販売先は思うように広がっていきません。



坂本さんは三世代七人で暮らしています。
家計を支えるのは、コメ作りの収入と、わずかな年金です。

借金の返済を差し引くと、
手元に残るのは180万円あまり。
総額は7000万円に膨れ上がっていました。


先月、農協から一通の督促状が送られてきました。
借金をすぐに返済しなければ、取引を停止するという内容でした。

一週間後、坂本さんは農協に出向きました。
農協からの借り入れは2500万円の限度額に達しています。

しかし、コメ作りのために融資を継続してほしいと掛け合いました。

結局、融資の継続は、見送られました。


大規模化のモデル農村、大潟村。
今その一部の農家が、資金ぶりに行き詰まり、経営の危機に立たされています。


(2008.3.13)


引用
NHK「ライスショック」