#11 コメ再考A 貪欲な海外の農業現場
■世界がコシヒカリを作り始めた
アメリカの畑は広大
ここで作られているのは、日本のブランド米です。
かつては、栽培が難しく日本でしか作れないとされていた
「コシヒカリ」です。
アメリカのコシヒカリ農家は言います。
? 「コシヒカリは儲かるコメだ。
日本産のコメと見分けがつかないくらいに上手に作らなければならない。」
今、カリフォルニアでは、栽培するコメの品種を
世界で高く売れるヒトメボレなどの日本の品種に切り替えようとしています。
このアメリカ産のコシヒカリ、
関税さえ下げられれば、日本の市場にも売って出られる出来栄えのようです。
一方、中国では日本のコシヒカリを改良した『海賊版コシヒカリ』が、
輸出用に作られています。
中国では、「農作物の海賊版」=「バイオパイラシー」も横行しているといいます。
(バイオパイラシー(Biopiracy)の本来の意味は、
先進国による途上国の生産資源に対する侵略行為ですが…。)
しかし、確信的な“盗作”だけでなく、良心から種や苗を外国人に分けてしまう農家もいるため、
「種苗法」もその予防効果を発揮しきれていない状態のようです。
中国のコメ農家は言います。
? 「中国のコメは優秀だ。日本のコシヒカリに勝つ自信がある。」
アメリカと同様、日本へのコメ輸出を目指す、中国。
日本の大手商社と提携してから、生産力をあげた会社もあります。
ここでは、あらゆるところで日本の技術を取り入れています。
たとえば、輸出用の精米工場で使われている機械は、日本製。
「日本の技術が入り、品質は向上し、
日本と同レベルのコメが作れるようになり良いことばかりだ。
日本がさらに市場を開放してくれることが望みだ。」
中国は、生産力と技術力の向上で、
着実に競争力をつけているのです。
各国のコメを扱っている、上海市内の高級デパートのコメ売り場には、
あきたこまちやコシヒカリが置かれています。
いずれも中国で作られたものです。
| 中国の海賊版コシヒカリは日本産の1/6の安さで売られています。 3kg 45元=730円です。 一方、日本の農協が輸出したコシヒカリは 2kg 185元=3200円です。 |
日本産のコシヒカリと中国版のコシヒカリでは
価格の面で競争力に大きな開きがあります。
中国版のコシヒカリは、日本市場が開放されれば、
日本向けの強力な貿易商品になるでしょう。
緊急用のコメを保管している、静岡の国の倉庫では、
2年前から、新潟産コシヒカリの一等米が大量に余り、
備蓄用として置かれる事態が起きています。
国は、コメの余剰分を更に備蓄用上限一杯に買い増しし、
加えて10万トンを家畜のエサ用に処理して市場から隔離しました。
国は、2007年度の国内で作られたコメのうち、
23万トンが余ると予測しています。
戦後、世界中から、日本はさまざまな安い食材を輸入し、
それと引き換えに、私たちはコメを食べなくなりました。
私たちの主食を担ってきたコメ農家たちは、今減り続けています。
日本のコメ農家は言います。
? 「自分が生産して、この国の食糧を守っているんだ、という気持ちが自分の中にあります」
コメの消費量の落ち込みに加え、外国産のコメの流入…。
危機に直面する、日本のコメ産地。
日本の食糧自給率は、現在39%。
コメを含め、農産物の輸入が完全に自由化されれば、
日本の食料自給率は12%にまで落ちると、国は予測しています。
私たちの食は、誰が担っていくのでしょうか。
(2007.11.10)
参考/引用
NHK「ライスショック」
NHK「ライスショック」

