#02 自給率はなぜ低い
■農業鎖国はできない

日本の穀物自給率は28%で人口1億人以上の国で最低。
世界173ヵ国・地域のうち第124位。

ひどい状態ですね。
よく聞かれる「自給率40%」という数字は、カロリーベースでの計算になります。

食料自給率には3種類の計算方法があります。

@重さで計算
その食品の重さそのものを用いて計算した自給率の値を、「重量ベース自給率」といいます。

小麦の
自給率
小麦の国内生産量[86万t]
14%
小麦の国内消費仕向量[627万t]


Aカロリーで計算
重さが異なる全ての食料を足し合わせ計算するために、
その食料に含まれるカロリーを用いて計算した自給率の値を
「カロリーベース総合食料自給率」といいます。

カロリーベース自給率の場合、牛乳、牛肉、豚肉、鶏肉、卵には、
それぞれの飼料自給率がかけられて計算されます。

カロリーベース
自給率
国民一人一日あたり国産熱量[1,013kcal]
40%
国民一人一日あたり供給熱量[2,562kcal]


B生産額で計算
カロリーの代わりに、価格を用計算した自給率の値を
「生産額ベース自給率」といいます。

比較的低カロリーであるものの、健康を維持、増進する上で
重要な役割を果たす野菜や果物などの生産が、
より的確に反映されるという特徴があります。

生産ベース
自給率
食料の国内総生産額[10.6兆円]
70%
食料の国内消費仕向額[15.3兆円]
(上記は平成16年度概算値)



2003年のことですが、
小泉元首相がタイのバンコクで同行記者団との“懇談会”の席上
「(日本は)農業鎖国はできない。外国の農産物が日本に入るのを止めることはできない」
と発言したことが波紋をよびました。

マスコミがおもしろがってとりあげ、
農業関係の方々から「けしからん」という反応が多くあがりました。


日本の異常に低い食料自給率の是正を阻んできたのが、
農産物輸出大国の米国や、多国籍企業の利益を最優先する日本の財界です。
多国籍企業の儲けのためには、食料自給率が下がってもかまわないという立場の財界は、
農産物の貿易「自由化」や価格保障の廃止などを求める意見書をたびたび発表。
日本政府に圧力をかけてきました。


■戦後のアメリカの食料侵略

政府は、食料自給率低下の原因を、

(1)食生活の大きな変化により、国内で自給可能な米の消費量が減少する一方、
国内で生産が困難な飼料穀物や油糧原料 (大豆、なたね)
を使用する畜産物や油脂類の消費が増えた



(2)生産が実需者のニーズなどに十分対応しきれず、
生産性の向上や品質の改善を図る取り組みが不十分であった



と説明しています。

1950年代後半からの高度成長以降、
食料自給率が急速に低下した最大の原因は、
アメリカのいいなりで、大企業の利益を優先させ、
食料の自給政策を放棄し、外国産と競合する国内農産物を切り捨ててきた政府の農政にあると言われています。  

その間、食生活が変化し、多様化したのは確かですが、
その大きな要素である米消費の減少は、アメリカ産小麦の市場拡大のために学校給食での米飯禁止、
パン食奨励を長期にわたって押しつけてきたアメリカ政府の政策が大きな影響を及ぼしたものです。
(戦後当初は、食糧難に陥った日本と利害が一致していたのですが…)
 

また、飼料穀物や油糧原料などの需要が増えたのも事実ですが、
政府はそれらの本格的な増産政策をとるどころか、
逆に国内生産をつぶし、輸入に依存する政策を進めました。  

麦でいえば、60年以降の35年間に需要量が1・5倍に増えるなかで
生産量は約5分の1に減りました。

同じく大豆の作付面積も最高時の約5分の1 に減少しています。

無論、国内の農業関係者からは、非難の声があがったことでしょう。
しかし、 広大な農場で生産されるアメリカ産や
所得水準が日本の10分の1以下の中国産並みの
「安い価格」や均一の品質で大量の供給を日本の農家に求めることは、
非現実的な要求です。

日本を骨抜きにするアメリカの思惑は、
憲法以外にもこんなところにもあったのかもしれません。


■遠いようで身近な問題

日本の土地は約490万ha(1999年)。
輸入している農産物を全て自分たちで作るには、
1200万ha必要です。

大量の食料を輸入する一方、毎日たくさんの食料が廃棄されています。
飢餓に苦しむ多くの人々のことを考えても、
私たちの食生活は見つめなおすべきです。


食料の輸入には、輸入相手国の不作や、地域紛争など不安定な要素が多く絡みます。

輸入農産物は国産のものよりも安いことが多いですが、
収穫後のポストハーベストなどで、安全性に問題があります。
危険?輸入野菜
毎日摂り入れるものなら、値段よりも安全性を選びたいものです。


同時に国産農産物を食べることは、日本の農業や農地を守り、
稲作から生まれた日本の伝統や文化を守ることにもつながります。

子供たちの未来のためにも、自給率アップが、
今の日本の大きな課題です。


普段食べているものの自給率を調べる
食料自給率早見ソフト

食料自給率早見ソフト



食料自給率早見ソフトとは、
料理の材料・食材を入力すると、
食材そのもの、またその食材を使って料理を作ったときの平均的な自給率を計算することができるソフトです

農林水産省のサイトからダウンロードできます。
なかなかおもしろいので、お時間があるときに遊んでみてはどうでしょう?

食料自給率早見ソフト(改訂版)のご使用に関して

(2007.5)